「言わないっ。言わないけどっ――ただ、夢が現実かの区別がつかなかっただけ……。本当に、夢、じゃない?」
 私の言葉は尻すぼみに小さくなっていく。
「……夢だと思っているなら再現するけど?」
 その言葉に頬がカッと熱くなる。
「……嘘。キスは悪かったと思ってる。……でも、口にした言葉は嘘じゃないから」
 私はこんな話をするだけでも心臓が強く脈打つのに、ツカサはどうしてそんなに平然としていられるのだろう。
「どうして……?」
「何が」
「どうしてそんなに普通なの?」
 訊いていて泣きたくなる。