理美ちゃんは真っ直ぐサザナミくんを見て歌う。
 ……理美ちゃんはサザナミくんが好きなのね。
 訊かなくてもわかる。
 きっと周りの人もみんな知っているのだ。
 冷やかしの声が混じるものの、あたたかい目で見守る人が多数いた。
 歌い終わると、それまでの雰囲気はどこへやら。
「千里っ! 点数はっ!?」
 理美ちゃんがマイクを向けて尋ねると、
「惜しいな、九十八点」
 その直後、歌詞が表示されていたディスプレイに九十八点という数字が出た。