「不思議そうな顔してるね?」
 秋斗さんは笑いながら、ロッカーから出るのに手を貸してくれた。
「さすがに誰もが地下道を使えたら警備上まずいからね。入り口にはすべて鍵がかけられているんだ。中から開錠する方法もあるけど、今回は俺がお出迎え」
 私はごく当たり前のことに納得する。
 今通ってきた地下道を見る限りでは、学校の下をかなり細かく網羅しているように思えた。
 きっと、ひとりで歩いたら迷子になるに違いない。
 嵐子先輩ですら、メモを片手にその道を進んできたのだから。
「実は、奈落から図書棟以外の地下道を通るのは私も初めてだったんだ」
「え?」