「……何」
 何って――え……?
 状況判断を努めたところ、目の前にはツカサがいて、私の右手にはツカサの白いシャツがしっかりと握られていた。
「……落ち、ない?」
 まだ夢を見ているのかな。
「……アリスの夢でも見ていたわけ?」
「ううん、アリスの夢ではないのだけど……。急に地面がなくなる夢だった」
 決して暑くはないのに変な汗をかいた気がした。
「落ちそうだったから手を伸ばして掴めるものを掴んだんだけど――ごめん、ツカサのシャツだった」
 あ、いい加減離さなくちゃ……。