「御園生さん、翠ってどうしてこうなの?」
 その場の四人が司を向く。
 司はソファの背もたれに腰を預けて腕を組んでいた。
「あまりにも人の中に踏み込まなさすぎじゃない? 自分もそういう傾向の人間だけど、俺なんか比じゃない」
 すごく核心を突いた言葉だと思った。
 確かに、あの子は俺を好きだと言いつつも、胸に飛び込んでくれるような子ではない。それは友達関係においても同じことが言えるのではないだろうか。
 あれだけ彼女のことを思っている友達がいるのに、それに甘えようとか頼ろうという姿勢が見えてこない。
 周りが手を伸ばして、ようやくそれに掴まるといった具合だ。
「前にも話したけどさ、この高校に入るまで、家族以外の人間との付き合いがほとんどなかったんだ。だから、コミュニケーション能力が高いとは言えない。そのうえ、家族にすら体調不良を言えないっていうのが翠葉の短所だと思う」
 蒼樹は自嘲気味に笑った。