「意外だった?」
「意外っていうか……同じようなことを考えてる人がいるとは思わなかったから……」
「そっか。そうだよね。……でも、この学校の人たちの反応見てると……。高校入ってから何かあった? ほら、以前街中で会ったときも一緒にいた人に牽制されたし」
 え……?
「私、鎌田くんと会ってる……? 街中で会ったのって……いつの話?」
「……五月の終わりだったかな? ウィステリアデパートの雑貨屋さんで会ったけど、覚えてない?」
 どれだけ思い出そうとしても、そんな記憶はない。
 これもなくした記憶の一部なのだろうか……。