「まぁ、そう言わずに……。姫さん一緒だと男が釣れて釣れて巡回になんないから返却願いたいんだけど?」
『縄でもつけて帰ってこい』
「ツカサっ、縄はひどいっ」
「それ、なんの会話?」
 弓道部の先輩に訊かれてちょっと困った。
「じゃ、今から連れて戻るけど、通ってほしいルートがあったら言って? 巡回ついでに客を落とすことも拾うこともできそうよ? も、ち、ろ、ん、姫効果でね?」
『……最短ルートで戻ってこい』
「了解。ほら、姫、戻るわよ? そこの人たちも。藤宮くんに会いに行くなら図書棟」
 そう言うと、沙耶先輩は先頭を切って歩きだした。