「海斗くん、動揺しないおまじないってないかな」
「……そうだな。ツカサに数でも数えてもらえば?」
 にこりと笑う海斗くんが、このときばかりは悪魔に思えた。
「無理……」
「どうして?」
「……諸悪の根源だから」
 立ち止まる海斗くんを置き去りにして、諸悪の根源と一定の距離を保ったまま私は学校へ向かった。