「唯兄も知っているのっ!? え? やだ、もしかして蒼兄も……?」
「んー……どうだろう」
 蒼兄に嘘をつかれたことはない。
 この言葉で視線を逸らされた、ということは知っているのだ。
「やだ……やっぱりなんでもない。ふたりとも出ていってっ」
「なっ、翠葉っ!?」
「リィっっっ!?」
「だって、ツカサの好きな人が誰だか知りたくなっちゃうものっ。本人のいないところでこういう話はしちゃだめってわかっていても、訊きたくなっちゃうものっ」
 私は手当たりしだいにクッションを投げつけた。
 それらを上手にかわした唯兄に、「どうどうどうどう」と両肩を押さえられる。