光のもとでⅠ

「蒼兄、唯兄……」
 ダイニングでくつろぐふたりに声をかけると、唯兄がすぐに席を立った。
「ハーブティー淹れたら行くから、あんちゃんと先に部屋に行ってな」
 そう言われ、私は蒼兄と先に自室へ戻った。
「何かあった?」
 蒼兄のその言葉や声、ほっとする表情に泣きたくなる。
「翠葉が言ってこなければ訊かないでいるつもりだった。これはそういうふうに使うものじゃないと思うから」
 言いながら、蒼兄は自分の携帯をテーブルに置いた。
「なんかさ、今日一日お疲れ様ってその心臓に言いたくなるくらいの心拍数を連発してたよ」
 蒼兄の苦笑する顔を見たら、きゅるる、と音を立てて涙腺が緩むのを感じた。