光のもとでⅠ

「お父さん、たぶん……私はいられても後夜祭までだと思う。それ以上は――」
「翠葉、行っておいで」
 にこりと笑顔を向けられた。
「もちろん無理に、っていうわけじゃないけど、せっかく学校の近くに住んでいて、迎えに行く家族が三人もいるんだ。問題ないよ。それに、そのあとは二日も休みなんだから」
 お父さんの優しい眼差しに、気づいたら首を縦に振っていた。
「ピンポーンっ! 突撃っ、隣の甘味処唯芹亭! ただいまココアをお持ちしましたー!」
 その声に、
「どうぞお入りくださーい!」
 唯兄のノリのまま、お父さんが答えると、唯兄がトレイにマグカップをふたつ載せてやってきた。
 いつしかの「麺処唯芹亭」が「甘味処唯芹亭」に名前を換えて。