光のもとでⅠ

「香乃子ちゃんのことを軽く考えているわけじゃないんだけどな……」
 そう呟いては、今日知った初めての感情を口にしてみる。
「好き――」
 できる限り小さく発したつもりなのに、バスルームに反響した声が意外にも大きく聞こえて、慌てて水面に顔をつけた。
 パシャン――音と共に、顔に少しの衝撃がある。
 口から吐き出す息が、大小様々な気泡となって水面に上がっていくのを肌で感じる。
 ポコポコポコ、と顔の周りでする音がとても大きく聞こえ、その音に身を委ねていた。
 ローズマリーの香りを感じつつの入浴だったこともあり、香りつながりで秋斗さんを思い出す。
 秋斗さん、私、好きな人ができました……。
 でも、その人は秋斗さんじゃなかった。