光のもとでⅠ

『じゃ、切るから』
 プツリ、と通話が切れ、ツー、と流れる無信号を止める。
 唯兄に携帯を返そうとすると、唯兄は助手席で身体を丸めて大笑いしていた。
「唯……。おまえ、あまり司のことからかうなよ?」
 蒼兄が声をかけると、
「だって楽しいんだもんっ!」
 豪快な一言が返ってきた。
 唯兄……。唯兄は楽しそうだけど、私はちょっとつらい……。
 車内の誰にも気づかれないように、視線をそっと車の外へ移した。