「じゃぁさ、この携帯からかけるといいよ」
 唯兄から唯兄の携帯を渡された。
「ほら、それ司っちのだからさ、それから発信すると司っちの通話料になっちゃうじゃん?」
 あ、そっか……。
「早く電話して安心させてあげなよ!」
「うん……」
 自分の携帯にかけるだけなのに、心臓が異常なまでにドキドキしていた。
「翠葉、おまえ大丈夫か……? 一気に心拍数上がったけど」
「……電話、苦手だから……」
 そんな言い訳が、蒼兄にどこまで通用するのかは不明だった。