ツカサは全身全霊をかけて歌っているように見えた。
 今までとは全然違う歌い方。
 感情をすべてぶつけるような、そんな歌い方だった。
「……何度でもって言葉は、大好きだけど嫌い……。この歌は嫌……」
 知らず、口から零れた言葉。
 ツカサの想いの強さを突きつけられる。
 さらには、この歌詞に「あなたはどうするの?」と問われている気がしてしまう。
 ここで諦めるのか、それともがんばって伝える努力をするのか。
 マイナスをプラスに変える力みたいなもの。
 佐野くんの顔が脳裏をチラつく。
 何度も何度も気持ちを伝えて、何度も何度もトライして。
 私にそんなことができるだろうか。
 ……とてもじゃないけど自信がない。
 気持ちを伝える勇気も、伝え続ける勇気も――何もかもが無理に思えた。