「ただ、あれが許すかなぁ……」
「え?」
 風間先輩の視線をたどると、昇降機に足をかけたツカサがこちらを見ていた。
 見ている、というよりは睨まれている、が正しい。
「……あれは怒っているだけかと……」
「いや、俺が睨まれてるんだと思うけど……」
「……どうしてですか? 風間先輩はツカサに睨まれるようなことをしたんですか?」
「……あはははは。そういう御園生さんこそ、何か怒られるようなことしたの? もしそうならあまり賢明とは思えないけど」
「心当たりはそれなりに……。でも、好きな人本人に好きな人の相談はできませんよね? それで話せないってくだりで言い合いになったので……」
 先輩は「なるほどね」と笑いだした。