光のもとでⅠ

 話をしている相手は久先輩のはずなのに、その言葉を久先輩へ向けて言っているようには見えなかった。
 かといって、自分に言われたような気もしない。
 誰に向けて言った言葉だったのかな……?
「上がります!」
 その声にはっとして昇降機を振り返ると、ツカサが立っていた。
 そして、そのバックに都さんと神楽さんが立っている。
「いってきまーす!」
 軽く手を振るのは都さん。
 左昇降機にも右昇降機にも人がスタンバイ済みだった。

 私は定位置に戻りビーズクッションに座る。
 もう、茜先輩が隣にぴたりとくっついて座ることはないだろう。