私は、ただここへ来てほしいとしか口にしなかった。
 それは神楽さんたちに指示をされて。
「何……。姉ちゃんたちに呼ばれた時点でいい予感はしないんだけど……」
「そうね? よくわかってるじゃない。これのドラムは叩けるんでしょ?」
「はぁっ!? 姉ちゃんたち何考えてんのっ!?」
「ん? 会場のおひい様救出作戦?」
「それでなんで俺なんだよっ」
「別にほかの人間が叩けりゃ明の出番なんてないわよ」
 しれっと答える神楽さんに、
「いなかったら叩かせるってどんな拷問っ!?」
「明、時間ないんだからうだうだ言わない。スコアならあるわよ。とりあえずフォークソング部と軽音部を召集して。ほら、とっとと動く」
「ああああっ、もうっ!」
 佐野くんはうな垂れながらもその指示を呑んだ。
 何――何が始まるの?