それに朝陽先輩や海斗くんはツカサの恋も応援してるよね。
 自分が賛同できないことが本当に嫌――。
 少しだけ、自分のことを好きになれたと思えた。
 そのはずだった。
 なのに、この気持ちに気づいたら、醜い自分が明るみに出てまた嫌いになってしまいそう。
「翠」
 顔を上げたくない。
 目の前に立つ人がツカサだとわかっているから。
「今ここで言わせるつもりはない。でも、夜、マンションに帰ったらゲストルームに行くから」
「……だめ」
「拒否権があるとでも?」
「今日は家族水入らずで夕飯を食べる予定なの。みんなでお鍋食べるからだめ」
「……あぁ、そう」
 去っていく足音にほっとして、すぐに悲しくなる。
 もうやだ――。