光のもとでⅠ

 フェイク、と呼ばれる歌い方を完全放棄した私たちの代わりに、その部分はフルートやオーボエ、木管楽器の音が響くき、間奏中の部分は吹奏楽部やヴァイオリンのソロにアレンジされていた。

 歌い終えてすぐ、
「何を考えていた?」
「っ!? 私、何かミスしたっ!?」
「そうじゃない――ただ……なんでもない」
「……ツカサらしくないね?」
「翠こそ……」
「私は――私はただ、この歌のとおりならいいのに、ってそう思っただけ。理想だな、って……。ただ、それだけだよ」
 嘘じゃない。
 明確なことは口にしなかったけど、言葉にしたことに嘘はなかった。