少し体型がサザナミくんに似ているけれど、サザナミくんよりは全体的に線が細い感じ。
 なんて、まじまじとて観察していたのがいけない。
「免疫ない割には不躾な視線よこしてない?」
「ご、ごめんなさいっ。もう見ませんっ」
 私はくるりと身体の向きを変えた。
 そうだ、飛翔くんが目の前にいるから困るんだ。
 目の前にいなかったら、視界に入らなければ困らない。
 すると、すぐにツカサの歌が始まった。
 本当は会場へ上がって生の音を聞きたいけれど、次の歌が自分だからそれは無理。
「あの司先輩がこんなステージに立つとはね……。にわかに信じがたい」
「くっ、飛翔もそう思う?」
 後ろの、海斗くんと飛翔くんの会話が心なし気になる。
 心なし、というよりは、すごく気になるの間違い。
「あれも今は必死だからさ」
 またその言葉……。