「いや……今図書室に行ったところで、現状じゃ秋兄の部屋でも静かに休むことはできなかっただろ」
 意識を逸らそうと思えば視線を引き剥がす必要がある。
 ツカサが悪いわけじゃない。
 でも、今日に限っては、ツカサという存在がどこまでも厄介に思えてならない。
「口が止まってる」
 指摘され、パクパク、とサンドイッチを頬張った。
「……別に、急いで食べろとは言ってない」
 どこか呆れたような、でも、どことなく優しさを感じる視線にドキリとする。
 急がなくていい、急がなくていい、急がなくていい――。
 心の中で唱えながら、バクバク駆け出しそうな心臓さんに必死でお願いする。
 うるさく鳴らないでって……。