拒否権はないので、そのままカプリ、とサンドイッチにかぶりつく。
 苺、甘い……。
 赤く見えていたそれは、やっぱり苺だった。
「苺とカスタードの組み合わせ、本当に好きなんだな」
 ツカサは手にしたサンドイッチをプレートに戻し、ペットボトルに手を伸ばす。
 ただ、スポーツ飲料を飲んでいるだけ。
 なのに、ゴクゴクと動く喉から目が離せない。
 少し前にも同じことが気になってドキドキした記憶がある。
 それは会計作業と勉強の合間に取った休憩時間のこと。
「何……」
 ツカサに訊かれて少し焦る。
「あ、あのっ、色々あれこれ用意してくれたのにごめんね?」
 咄嗟に話をするのとか、意識ををほかに逸らすのってなんて難しいんだろう……。