「はい。こちらのアクセスを遮断される前に手を打っております。情報の吸出しはおろか、改ざんする暇も中を盗み見る時間もなかったでしょう。今はクラッカーになり損ねたハッカーを追い詰め中です。秋斗様はその傍らで新しい防御ソフトの開発をしていらっしゃいます」
「……秋兄に、残務処理が嵩むようなら声をかけるように伝えてください」
「かしこまりました」
 蔵元さんは丁寧にお辞儀をし、暗い通路へと姿を消した。