「唯さんがインカムにも応答できない状況ってなんですか。……今日、あの人に出番はないはずじゃ?」
 蔵元さんは苦笑しながら話す。
「さすが司様ですね。今、この学園には会長直系の方がたくさんいらっしゃいます。今日、会長がここにいることも一部にリークされていまして、そこまでは想定内だったのですが……」
「ほかに何が?」
 言葉を濁す蔵元さんに、ツカサは要点だけを話せと命令するような話す。
 蔵元さんは佇まいを直し、こう答えた。
「メインコンピューターが攻撃されています。今、本社の人間も借り出して対応に当たっていますが、唯レベルの人間は秋斗様とふたりですからね。もうしばらくはかかりますが、唯が楽しんでいるようでしたから、そう長くはかからないでしょう」