「司、いつの間にカメラ目線なんてするようになったんだろうね?」
 ステージに立つツカサは、またしてもマイクスタンドを味方につけて、格好良さに拍車をかけていた。
 そのうえカメラ目線なんて――。
「反則……」
「え?」
「反則反則反則っっっ」
 もう自分がどれだけ赤面してるのかなんてわかってる。
 右につけなおしてもらったコサージュを取って顔を隠してしいまいたい。
 そうは思うけど、顔が下を向いてくれない。
 モニターに固定されたまま目が離せない。
 モニター越しに視線が合っている気がしてしまって、どうしても目を逸らせない。
 ツカサの顔だけを見て、声だけを聞いて満足していたのに、どうして余計なものがくっついてくるのだろう。