光のもとでⅠ

 頭に音を置きつつ、イヤーモニターでカウントを取る。
 マイクを握りしめ、モニター音に合わせて数を数えた。
 一、二、三、四、五拍目で息を吸い、七拍目で歌い始める。
 それと同時に昇降機が振動を始め、奈落にいた人たちが呆然とする。
 奈落にいる人の視線を集めていたのは気づいていた。
 けれど、今はどの人も口を軽く開けて驚いた顔をしている。
 その顔を見ながら私は歌う。
 昇降機はどんどん上に上がっていく。
 昇降機が上がりきると、軽快なドラムとピアノのグリッサンドが鳴り出す。
 目には、みんなが楽しそうに身体でリズムを刻んで演奏する様が飛び込んでくる。
 リハーサルのときもそうだったけれど、それを見ているだけで自分も楽しくなってくる。
 楽しい気持ちが伝染する――。