奈落の中央にステージへ上がる人たちが集る。
「楽しもうねっ!」
「楽しむよ!」
 そう言って肩を叩いてくれたのは都さんと神楽さん。
「俺らは先に行って待ってるよ」
 ドラムの先輩がスティック片手に声をかけてくれた。
 トランペットやほかの楽器の先輩も、同じように視線を投げては昇降機に乗る。
 この曲の演奏部隊は茜先輩が集めた人たち。
 ドラムとベースは軽音部から、金管楽器と木管楽器は吹奏楽部から。
 そこに都さんと神楽さんと茜先輩が加わる。
「姫、必要ないかもしれないけど、これ」
 トランペットの坂口先輩に渡されたのはチューナーだった。