だから、ふとしたときに考える。
 自分の将来を……。
 これ、といった答えが出るまでにはまだ時間がかかりそう。
 騒がしい奈落では、私たちのこんな会話が誰の耳に届くわけでもなく、思ったことをポツリポツリと口にしては、ふたり寄り添っていた。

「翠」
 この声は、どんなに私が沈みきっているときにも心に届く。
「ツカサ?」
 確認する必要はなかったけれど、私はその人の名前を口にする。
 私の右側にしゃがんだツカサの手には陶器のプレートがあり、ラップがかけられているものはサンドイッチだった。
「軽食。学食で作ってもらってきた」
「わ、ごめん。ありがとう」