「大丈夫よ。私、溺死寸前だから、棒切れじゃなくても藁をも掴む状態だわ」
「……藁、くらいにはなれるかなぁ……」
 そんな会話をしていると、香乃子ちゃんが戻ってきた。
「あの、姫がふたり揃ってなんで藁の話をしてるんですか?」
「……なんの話、でしたっけ?」
「なんだったっけね?」
 ふたり顔を見合わせ、視線が合えば同じタイミングで笑う。
 たぶん、これはふたりだけの内緒ごとなのだ。
「やややっ、七倉的にはデッサンタイム入りたいんですがっっっ!」
「「え?」」
「んもーーーっっっ! なんですか、このかわいい生き物たちっ!」
「な、七倉ちゃん?」
「一枚でいいですからっ! そこにおとなしく座っていてくださいっ」