光のもとでⅠ

 これから歌う歌詞の内容を考えると、私は少し複雑な気分だった。
 この曲をこんなふうに思ったことはないのに。
 歌詞って不思議……。
 そのときに置かれている状況や心境が変わるだけで、受けるイメージがこんなにも変わる。
「最初はね、これも翠葉ちゃんに歌おうと思っていたの。だって、そんな内容だと思ったから。でも、今は私にもピッタリな歌詞に思えてちょっと困ってる。……正直、逃げだしたいわ」
 そう言うと、茜先輩は私と手をつないだ。
 手をつなぐ、手を合わせる、立ち位置を変えて背中合わせに立つ。
 そんな振り付けがこの歌にはあった。
「茜先輩……永遠はいらないですか? それから、約束も」
 顔を見て訊く勇気はなくて、振動する床に視線を落としたまま訊いた。