光のもとでⅠ

 辺りの人が一斉にそちらを振り返る。と、そこにはいつもと変わらない茜先輩が息を弾ませ立っていた。
「お待たせっ! 翠葉ちゃん、ケープありがとう! 嵐はこれお願い」
 茜先輩はバニティポーチを嵐子先輩に預けると、
「さ、ステージに上がろう!」
 茜先輩のは私に手を差し出した。
 私は頷き、室内ブーツを脱いでその手を取った。
 完全復活――そう思えるくらい、声には張りが戻っていた。
 でも、ステージも奈落も、茜先輩にとってはあまり変わらないのかもしれない。
 きっと、今もその心はつらいまま――。

 昇降機に乗ると、実行委員の手で私たちの胸元には高性能ピンマイクがつけられた。
「昇降機、上がりますっ!」
 実行委員の声が響くと、足元から振動が伝ってくる。