環境が人を育てる、という言葉あがる。
 だとしたら、茜先輩がこんなふうに考えてしまうのは仕方がないんじゃないだろうか。
 誰がそれを責められるだろう。
 でも、茜先輩が欲しいのはそんな言葉じゃない。
 正論とか一般論、そんなものが欲しいわけじゃない。
 むしろ、そういったものは欲しくないんだろうな……。
 茜先輩は慰めが欲しいわけじゃない。
 そういう人じゃない……。
「茜先輩が誰を信じていないとか、そういうのはどうでもいいんです。今、私の前にいる茜先輩だったり、四月から私に接してきてくれた茜先輩が私のすべてだから。……すっごくたくさんありますよ? でも私、頭にあるものをまとめるのが下手なので、長くなりますけど全部聞いてくださいね」