ドレス姿のまま、体育座りで自分を抱きしめるようにして蹲っている。
「茜先輩、遅くなってしまってすみません……」
 すぐ近くまでいって声をかけたけど、茜先輩はピクリとも動かなかった。
「茜先輩……? 具合悪かったりしますか?」
 むき出しの肩に手を添えると、そのままの状態で返答があった。
「来ないかと思ってた」
 くぐもった小さな声。
「遅くなってしまって本当にすみません……」
「ううん、いいの。来てくれたから」
 ツカサのステージを見にいく前から待たせていたのだから、もっと早くに来るべきだったと後悔する。