「現時点で会長にできることがあるのなら、あの人が動いていないわけがない」
 それを聞いて、ツカサは何かを知っているのかもしれない、と思った。
 知っていて黙っている。
「翠、会長はやれるだけのことをやったあとだ。今は茜先輩を待っている」
 だから、久先輩は茜先輩を目で追うけれど、話しかけはしないの?
 だから、あんな切なそうな目で見つめていたの?
 ――でもね、
「ごめん、ツカサ。私、言葉が足りてなくて……。私が声をかけたわけじゃないの。茜先輩が……茜先輩が私と話したいって言ったの」
 ツカサは目を見開いた。
 でも、ツカサが驚く理由もわからない。
「だから、私、行くね。茜先輩の話を聞いてくる」
 椅子を立ち、空太くんが作ってくれたペットボトルを手に、私は第四通路へ向かった。