「だから誰も声をかけないの? みんな、私には言えって言うのに?」
 私は良くて茜先輩はだめなの?
 その差は何……?
「ほかの人間がどうかは知らない。俺が翠に言わせるのは楽にさせるためじゃない。俺が知りたいからだ。それ以上でもそれ以下でもない」
「…………」
「もしかしたら、茜先輩だって誰かに話せば楽になるのかもしれない。でも、それは俺じゃないし翠だとも思わない」
 じゃぁ、誰……?
「――久、先輩?」
 ツカサは緩く首を振り俯いた。
「そうかもしれないし違うかもしれない。……でも、もし――」
 そこまで言うと顔を上げ、視線を合わせられる。