なんだ、そっか……。
 簡単に「得体の知れないもの」の答えを得ることができて胸を撫で下ろす。
「百面相に大忙しな翠葉ちゃん、俺との会話が成立していないんだけど……」
「あっ、ごめん。あのね、私、ジュースとかそのままの濃度で飲めないの」
「……悪い、ごめんっ」
 空太くんが罰が悪い顔をして謝る。
 きっと、両手が空いていたら顔の前で手を合わせていただろう。
 そんな勢いで謝られた。
「空太くん、違うっ、違うよ? 身体がどうとか制約に含まれるものじゃないの」
 私は大げさすぎるくらいに両手を振って見せた。
「これは私の味覚の問題だから、単なるわがままっ」
 言ったあとに苦笑してしまうのは、気を遣わせすぎていて申し訳ないと思うから。