ツカサはあんなステージングだってできちゃうけど、本当はとても緊張していて、会場に見つけた私を安心材料みたいに使っているに違いない。
 わからない感情と向き合うよりも、怒りの感情にすり替えてしまうほうが楽だった。
 朝陽先輩に説明を求められ、ツカサとした会話を話してみると、朝陽先輩はめったに見せない落胆した表情になった。
「……朝陽先輩?」
「ん? あ、歌終わったね。じゃ、下に戻ろうか」
 明らかにはぐらかされた感はあったけれど、茜先輩が待っているから……。
 だから、それ以上は訊かずに奈落へ戻った。