光のもとでⅠ

 もし、私に血圧の問題がなかったとしても、私はステージの中央であんなふうには歌えない。
 あんなふうにマイクスタンドを扱って、自分を見せるような演出はできない。
 すごいな、と思う反面、なんでもできてちょっとずるいと思った。
 間奏が終わるとくるり、とこちらを向く。
 単なる偶然だと思った。
 ……え? 何……?
 どうしてか、ステージ上のツカサが私に視線を固定する。
 ただ、会場に私の姿を見つけただけだと思ったのに、視線を合わせたまま外そうとしない。
 や、ちょっと待ってっ――。
 今日のツカサは存在自体が反則だってさっき話したばかりなのにっっっ。
 やだ、どうしようっ!?