「大まかに説明するとこんな感じ」
 蒼樹を見れば、呆然としていた。
 それもそうか……。
「彼だけ、置いていかれちゃったんですか……?」
「そういうことになるかな。両親は若槻ひとりなら大丈夫と思った末の行動だったらしいけど」
「だからか……自分だけが家族じゃない感じがしたって――さっき話してくれました」
 その言葉に絶句する。
「……なんでかな。俺たちには一年くらい経ってからようやく話してくれたことを蒼樹にはこんなにサラッと話しやがって……」
「でも、誰かに話すことができたからこそ、ほかの人にも話せるようになることもあるわ」
 新しいフォークを持ってきた栞ちゃんがクスクスと笑いながらフォローしてくれる。そして、
「蒼くん、翠葉ちゃんと蒼くんに期待してもいいかしら」
「……何を、ですか?」
「若槻くんね、自分の話はめったにしないの。カウンセリングにも行かせていたんだけど、うまくいかなくてすでに六人もカウンセラーを変えているわ。私たちとも二年半くらいの付き合いになるけれど、今でもほとんど話してはくれない。それから、自分より年下の女の子には極力近づかない……」