私にはみんなみたいに引っ張り上げる力はないかもしれない。
 でも、その場で寄り添うことならできるんだよ。
「エライエライ。それにしても海斗のやつ、動くとなるととことん派手にやるよなぁ。ま、らしいっちゃらしんだけど」
 空太くんはそう言って笑った。
「翠葉ちゃん、そんな顔でステージに立っちゃダメだからね?」
 斜め下から伸びてきた手に頬をつつかれる。
「翠葉ちゃん、やさしい花をちょうだい」
 私はその言葉にコクリと頷いた。
「じゃ、準備に入ろうか。生徒会女子の歌い始めと同時にこっちの昇降機も上げるから」
 私は誘導されるままに昇降機へ移動する。
 そのとき、インカムから朝陽先輩の声が聞こえてきた。