私は佐野くんが見えなくなるまでその背を追っていた。
聞こえてくる音や歓声にその場の空気や何もかもがかき消される。
「佐野くん……」
階段から視線を戻すと、少し離れたところから私と同じように佐野くんが上がっていった階段を見ている香乃子ちゃんがいた。
心配、だよね……。
大丈夫なわけないのに大丈夫そうな顔をされたら、心配しないわけがない。
それが好きな人だったら、もっと気になるんだろうな……。
一曲目が終わると、会場に海斗くんの声が響いた。
『ねぇ、ちょっとプライベート私信いいかな?』
この日のために奈落に設置された大型モニターに目をやると、海斗くんが会場に向かって訊いたあと、上を見た。
聞こえてくる音や歓声にその場の空気や何もかもがかき消される。
「佐野くん……」
階段から視線を戻すと、少し離れたところから私と同じように佐野くんが上がっていった階段を見ている香乃子ちゃんがいた。
心配、だよね……。
大丈夫なわけないのに大丈夫そうな顔をされたら、心配しないわけがない。
それが好きな人だったら、もっと気になるんだろうな……。
一曲目が終わると、会場に海斗くんの声が響いた。
『ねぇ、ちょっとプライベート私信いいかな?』
この日のために奈落に設置された大型モニターに目をやると、海斗くんが会場に向かって訊いたあと、上を見た。


