申し訳なく思っていると、
「ほらほら、そんな顔しない! 仕上げのメイクするよ」
 椅子に座らされ、ナイロンのケープを肩からかけられる。
 ピンを使ってフェイスラインをすっきりさせると、化粧水で肌を整えたあとに下地をつけられ、顔全体に薄くパウダーをはたかれた。
 次に、頬の高いところにピンクのチークを乗せられる。
 ビューラーという器具で睫をカールすると、マスカラをつけられた。
 最後に唇。
 下地になるリップバームを筆で丁寧に塗られ、苺のように赤い口紅を薄く塗ったあと、上品なピンクのグロスをのせられた。
 普段見慣れない唇の色に赤すぎないかな、と不安に思ったけれど、グロスを重ねたことで血色が良く艶やかなそれとなった。