「っと、ごめん。声、大きかったわ。スミマセン」
 嵐子先輩が周りにペコリとお辞儀をして私に向き直る。
 嵐子先輩の手には手芸部が用意してくれたであろうネックレスがあった。
「それ、今日のために用意されたネックレスですよね?」
「そうだけど……。そっちのほうが似合ってる。ね、まっちゃんどう思う?」
 嵐子先輩が隣の人に訊くと、
「うん、悔しいけど……用意してたものよりもバランスいいね。私たちが用意したのはシンプルを意識しすぎてペンダントトップが小さすぎたわ。そのとんぼ玉のほうが姫の肌にも映えるし、何よりもカメラ映えすると思う」
「でもっ……」
「気にしない気にしない! みんな舞台を作るのも何をするのも全力なの。その場その場でいいものを優先するのは決して悪いことじゃないよ。でもね、これは翠葉のために作られたものだから、ライブが終わったら衣装と一緒にプレゼントする」