館内はいつになく混雑していた。
 香乃子ちゃんが手を引いてくれなかったら、途中ではぐれていたかもしれない。
 更衣室のドアには関係者以外立ち入り禁止の貼紙がしてある。
 一番乗りは嵐子先輩で、ほかにも手芸部の人たちが五人スタンバイしていた。
 桃華さんも茜先輩もすぐに揃い、衣装と共に簡易フィッティングルームへ押し込められる。
 私たちの着替えが済むと、軽音部やフォークソング部の女の子たちが着替えに入るそう。
 ほかの吹奏楽部、ダンス部、和太鼓部、コーラス部は人数が多いこともあり、各部室で着替えてくることになっていた。
 生成り色のワンピースに着替えフィッティングルームから出ると、すでに着替え終わった嵐子先輩が待ち構えていた。
「あ、それ……」
 それ、と指されたのは自分の喉元。