「でも、ツカサを教室の入り口に立たせるって、すごい効果的な戦術だよね?」
「え?」
「コーヒーのいい香りがして釣られるのは当然で、廊下を通りかかってツカサが立っていたら、女の子はみんな寄っていくと思うもの。それは明日の一般客にも有効だと思うし……。しかも、ハート型のラテアートは作るのに時間がかからないから、数捌けるでしょ? すごいなぁ……よく考えてるよね?」
「いや、翠葉さん……。俺、そこまでは気づかなかったわ」
「え? そう? これ、絶対に戦術だと思うよ?」
 そんな話をしながら図書棟まで移動した。