「ツカサ、嫌みじゃなくて人気者だね、って言ったのよ?」
 訂正を試みたけれど、あまり意味はなかったみたい。
 端整な顔はどこからどう見ても氷の女王そのもの。
「ふたりとも、いい加減本部に戻って仕事しろ」
「なんだよ、おまえが寄ってけって言ったくせに」
 海斗くんは文句を零しつつも、「ごちそーさま」とカップをカウンターに置いた。
「翠葉行こうぜ」
「ツカサ、ごちそうさまでした」
「どういたしまして」
 慌しく廊下に出ると、
「どうしたらあそこまで捻くれ者になれるんだか……」
 海斗くんが愚痴っぽく零した。