光のもとでⅠ

 数秒の間があったけれど、
「それなら大丈夫」
「え?」
「図書棟にもステージ下にも、俺たちが出入りする場所には必ず未開封のペットボトルが常備されてる。それは常に警備の人間が管理してるから問題ないんだ」
「……そうなのね? 良かった……。私、この格好で今から自販機まで行かなくちゃいけないのかと思っちゃった」
 この服装でクラスから出るのはかなり勇気がいるし、時間的にも厳しい気がしていたからとてもほっとした。
 さっきから気づけば両手でワンピースの裾を引っ張っている。
 その手を緩め、まだしわにはなっていないワンピースの生地を伸ばすようにさすった。
「翠葉さん」
「ん?」
 海斗くんに視線を戻すと、
「ぎゅっ、てしてもいいですかね?」