準備が整った教室にクラスメイト全員が揃う。
 紅葉祭がスタートすればこの顔が全部揃うのは難しい。
「じゃ、まずは記念撮影とまいりましょうか!」
 空太くんの提案に、海斗くんがすぐに動く。
 廊下に顔を出し、ちょうどそこを通り過ぎた人を捕まえた。
「聖司! 悪いんだけど写真撮って!」
「おぉ?」
 その人は教室をざっと見回すと、私に目を留めた。
「姫っ! 何その格好っ、超かわいい! 海斗、ツーショット写真撮ってよ!」
「聖司、落ち着け……。おまえはとりあえずうちのクラスの集合写真を撮れ」
 空太くんがその人の肩に手を置き諭すのも聞かず、セイジ、と呼ばれた人は私に向かって足を繰り出す。
 私は近づかれるたびに一歩ずつ後退する。