「それはダメ。……でも、そうだな――うちの兄妹に加えることならできる。翠葉のもうひとりのお兄さんってことで手、打たない?」
「……どれだけ姑息な願い事一個なんだか」
「でも、一応用件呑んでるし」
「……確かに」
 そう言って笑う仕草も翠葉に似ていた。
「でさ……翠葉、泣いたんだよね? 若槻くん、俺、妹を泣かせるやつだけは許せなくてさぁ……」
「……すんません」
 意外にもあっさりと謝罪した。
 彼もシスコンってことだろうか……?
「じゃぁさ、まずは翠葉のとこに戻って安心させてやって。あいつ、不安になると本当に何も言わなくなるし食欲にも影響出ちゃうから」
「……そうします」
 翠葉と違うのは切り替えの早さかな?
 そんなことを思いつつ、翠葉の部屋へと戻った。